≪内容≫
ある男が事故で足を失い、別の男が誤ってオークションでそれを購入します。その時から物語はより不思議になります。欲、プライド、罪悪感、名声に関する驚くほど面白いドキュメンタリー。
さすがに足がオークションに出されることはなく、それは燻製器の中に入っていたのでした。父と二人で乗った飛行機で起きた事故。亡くなったのは父親に対し生き残った息子は複雑な思いを抱くのでした。
足を巡る実話
足を巡る話なんですけど、これ父親と一緒に離れてしまった片足が遠い遠い旅をして帰って来たようなお話なんです。
足の持ち主・ジョンは事故で切断した足に防腐剤をかけ保存していた。しかし保存していたガレージの料金は3か月だけ母親が支払い、その後の支払いをしていなかった。
燻製器の中にしまった足は発見されることなくオークションにかけられ見知らぬ男の元へ旅立つ。
そして辿り着いた男もまた父親の背中を追い続ける男だったのだ。
足を発見したシャノンは父親に叱られ殴られ厳しく育てられた。家族は父が亡くなった今もシャノンは父に認められたい、注目を浴びたい、と父の愛情を求めているのだと言う。
シャノンは父の教えに従って売れるものは売る。足によって集められた注目をお金に換えていたのだ。それは足の見学料だったり、足のデザインを施したTシャツだったり、テレビ番組への出演だったり多種多様。
ジョンの足は持主の元を離れ、シャノンをシャノンが行きたかった場所に連れていったのです。
偉大なる父、皆に好かれ尊敬されていた父を奪ってしまった自分、そしてその父親の息子なのに薬物中毒者になり父から失望される。父親の期待にこたえられないと自分で思ったからだった。
ジョンは人生をやり直していた。事故の一年前から薬をやめ、両親との関係も回復していた。そんなときに起きた事故だった。パイロットはジョンだった。
ジョンは台無しにしてしまった人生をやり直そうとしてまっさかさまに墜落していきました。そして犠牲となった足はジョンにとって無価値となりシャノンの元にいくことで価値を見出されます。
ジョンはシャノンがジョンの足に執着し、裁判沙汰になるほど手放さなかったことにより、自らが戦って自分の足を取り戻すしかなくなります。
まるで本当に欲しいものは、戦って手に入れるのだと足がジョンに訴えているかのように。
他人のモノで目的に近づいたシャノンは逆に失っていきます。体から切り離された足によって二人の男の人生が劇的に変わっていく。実話だと思えないほど物語的なお話です。まさに、事実は小説より奇なり。そして何となくアメリカンな規格外さを感じるのでした。