≪内容≫
中田秀夫監督が藤原竜也と山田孝之主演で描いたサスペンスアクション。ひと目見るだけですべての人間を思い通りに操れる男と、唯一操れない男。対立する能力を持って生まれたふたりが生死を懸けた壮絶な戦いを繰り広げる。
これ面白いなぁ、と思ったら韓国映画のリメイクなんですね。いや、邦画がつまらないのではありません。邦画はクールなバッドエンドに進む(ミュージアム)のに対して韓国は感情描写が豊富な分、ドラマチックなバッドエンドになるのが特徴。今回バッドエンドと言ったらいいのか分からないけれど、伏線の回収はばっちりです!
才能は孤独と紙一重
信じられない能力を持つ男と
それが唯一通じない男そんな力を持った人間が
同時に現れた
主人公は藤原竜也演じるひと目見るだけですべての人間を思い通りに操れる男。その能力故に父親から迫害され、守ってくれていた母親までも自分の首に手をかけた。孤独に生きる男は他人を操ることで自分の身を守っていたが、あるとき自分の影響を全く受けない男・田中(山田孝之)に出会ったことで世界が一変する。
驚異的な回復力を持つ田中もまた、自分の能力を幼少期から自覚していた。他人なら死んでしまうような事故でも回復することを悟っていた田中は、弟に変わって自分がその衝撃を受けると約束するも、交通事故で弟は亡くなってしまう。
互いに信じられない能力を持ったが故に孤独となった二人。男は自分の世界を脅かす田中を排除するため、視界に入る全ての人間を操り田中を殺しにかかるのだった。
山田孝之の手ェエエ!カッコイイィイイイ!
その能力を人を守るために使う田中だったが、男と出会ったために自分の周りの人たちが死んでいくことになってしまう。男に操られ田中をナイフで刺し、父親を窓から突き落とした叶絵(石原さとみ)は、自分がしたことの記憶がないことに涙する。父親の復讐のために田中と一緒に男を追いつめる。
この映画、男がことあるごとに「AKIRA」を持っている。
この男と田中の関係といい、もしかして韓国の原作者「AKIRA」にインスパイアされた?と思ってもおかしくないし、そうだとしたら「AKIRA」の金田と鉄雄の関係をうまく男と田中で描いていると思う。
「AKIRA」ではもともと金田も鉄雄も能力がなかったが、鉄雄だけ覚醒し、その理由こそが根源・・・みたいなお話ですが、本作は二人とも能力者。
しかし共通している部分は、能力を持ったが故に孤独に苛まれ「本当の友達」が作れなかった側と、仲間がいる側の対決、という点である。
おそらく男は、「AKIRA」の中で自分を鉄雄と重ね、鉄雄を諦めない金田のような人物を探し続けていたのではないかな。
人死にすぎでとてもハッピーエンドとは言えないけれど、理解しあえる人間が自分が生きている現実に一人でもいるってことの強さが分かるいい話だと思う。