
≪内容≫
高野苺の人気コミックを映画化した青春純愛ストーリー。高校2年生の春、高宮菜穂に10年後の自分から手紙が届く。その手紙には、転校生の翔を好きになること、そして翔が1年後に死んでしまうことが綴られていた。主演は土屋太鳳と山崎賢人。
原作のお試し読みをしたことがあって、そのとき「すごいおもろいじゃん!」って思ったから映画を見て見たんだけど、これ「溺れるナイフ」と同じくらい原作見た方がいいだろうな、と思った。
ちょっと観る側に頼り過ぎてるかな、と感じます。矛盾点が多すぎて。何の縁もない転校生がここまでVIP待遇されたら自分が転校生でも怖いし、クラスのモブ立場だとしても怖いし、なぜってとにかく理由が見え無さ過ぎて怖い。
過去をやり直せたら友達を救える
これ設定がものすごくいいんですよね。だって、誰だって過去に戻って友達の命を救うことができたら嬉しいでしょ?今の世界で友達を失ったまま生きている人は如実にそう思うんじゃないかな。だからこそ、こういう人の繊細な部分に触れるテーマは丁寧に描かないと逆に傷つけることにもなったりする。難しいですね。
さて、本作の主人公・高宮菜穂(土屋太鳳)の元に届いた未来の自分からの手紙には、今日やってくる転入生への対処法が書かれていた。最初は半信半疑だったが、手紙の通りに事が進んでいくことでだんだんと手紙は本当に未来の自分が今の自分に宛てて書かれているものだと信じるようになる。
しかし、その手紙の意図は悲しい未来を描いていた。転校生・成瀬翔は事故死という名の自殺でこの世を去っているというのだった。
菜穂は明るく翔に接し、翔の自殺を食い止めるべく積極的にコミットしていくが、翔の苦しみは深く笑っていてもどこか影があり踏み込むことができない。
しかし自分がやらなければ死んでしまう日がくることを知っている菜穂は、翔が学校一のマドンナと付き合おうがそのマドンナから嫌がらせを受けようが翔に冷たくされようが健気に翔を追いかけるのであった。
彼を救うということは未来が変わるということでもある。だが、過去の自分に手紙を送るきっかけとなった授業で習ったのはパラレルワールドの存在だった。すなわち過去からの自分のメッセージによって今の自分が「こうなるはずの未来」を変えたとしても、手紙を送ってきた未来には何の変化もないのだ。
だから手紙の送り主である自分の世界での翔は永遠に死んでいる。未来の自分がくれたのは、翔がいるもう一つの世界への扉だったのだ。
この映画、何より山崎賢人って演技上手いんだなってことにびっくり。バラエティとかの天然なイメージが先行してたけどすごく良かった。