深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

「性格」のカラクリ: “イヤな他人”も“ダメな自分”も一瞬で変えられる/苫米地 英人

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≪内容≫

性格とは、「対人戦略」である。あなたの常識を覆す目からウロコの性格論。「性格」の正体を知ることで、自分や他人のありのままの姿が見えてくる!

 

 人生の中で一度は誰もが思ったことがあるのではないでしょうか?

自分とは一体どんな人間なんだろう?と。そもそも小学生のときから自己紹介で「私はこんな性格です!」という項目があったと思います。それくらい「性格」は自分につきまとってくる。でもこの性格ってなんなんでしょうか?

 

性格は存在しない

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 世の中で「性格」だと思われているもの、すなわち、その人の思考や行動の傾向を決定するのは、成長の過程で後天的に作られたブリーフシステムであり、当然ながら、遺伝子には、その情報は搭載されていません。

 

  本書では、「性格」というものは存在しない「人が生まれつき持っている性質や気質」などない、と書いています。

 

 でも、私たちは学校や就職や色んな場面で「自分はこういう人間です」とアピールしなくてはなりません。それに、自分で「私は人見知り」「私は楽観的」と確信を持っている人もいると思います。

 性格が存在しなくても、性格は生きていく上で必ず必要になるコミュニケーションツールです。では、その性格とは何が誰が決めているのでしょうか?

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もし、あなたが「自分は明るい性格だ」と思っているとしても、それはあなたが、

「自分は明るい人間である、というブリーフ、自己イメージを持っている」

「自分は明るい人間としてふるまわなければならない、というブリーフシステムを持っている」ということでしかありません。 

 

  本書では、性格を決めるのは

 脳が後天的に獲得した「認識のパターン」に基づいた、「思考や、選択、行動の傾向」と言っており、この「認識のパターン」を「ブリーフシステム」と呼んでいます。

 

 確かにこの世界に自分一人だけなら自分の性格は見つからないかもしれません。人は当たり前のように自分と他人を比べて「自分はこういう人間。」「あの人はこういうせい格」と判断していますよね。比べているつもりはなくても、比べなければ自分は見えない。

 そしてこの比較は大体が親や教師などから「あなたは負けず嫌いね」とか「あなたはいつも笑顔で明るいね」などという些細な一言が情報となって私たちの脳に届き、「自分はこういう人間らしい」→「自分はこういう人間だ!もしくは自分はこういう人間にならなくては!」となる。

  

 では、一度染みついてしまった認識のパターンは変えられないのでしょうか?つまり、性格を変えることはできないのでしょうか?

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 私たちは親、教師、上司、同僚、取引先、友人、配偶者、子ども、そしてメディアなど、日々外部からの言葉を受け取っています。

 そうした外部の言葉も、自分がそれを受け入れればブリーフとなり、自己対話と同じ効果をもたらします。

 特に、同じことを何度も繰り返し聞かされると、それが事実や自分の認識とは異なる内容であっても、「たしかにそうかもしれない」という自己対話を生み、自己イメージを上書きしてしまうのです。 

 

 人は常に自己対話をしているようです。その中で自己イメージが低いと「自分はダメな人間なんだ」と思うと、本当にそうは思っていなくても「たしかにそうかもしれない」という展開になり更にイメージを上書きしてしまう。

 だから、もし性格を変えたいなら「なりたい自分」をイメージすればよいのです。失敗したときは「なりたい自分」を主にして「自分らしくない」と思う。成功した時は「なりたい自分」を主にして「自分らしい。当然だ」と思うようにする。

 そうすれば、

 「自分らしくない」→「たしかにそうかもしれない。本来の自分はこんな失敗はしないはずだ。」とプラスのイメージが上書きされる。

 この上書きを繰り返すことで性格(ブリーフシステム)は変わる、と本書では書かれています。

 注意点は、自分で気をつけていても外部からネガティブなことを繰り返されるとそれも上書きされてしまうことです。何度も「お前はダメな人間だ」とか繰り返しくどくどと自分を否定してくる人が近くにいると上書きは上手くいきません。そういう人は無視するか離れるしか解決策はありません・・・。

 

 「変わりたいなら環境を変えろ!」というのは本当に本当なのだな~と思いました。環境を変えるのはとても怖いです。でも、もし今の自分に納得がいっていなかったり、何かを変えたいと思っているとしたら、ブリーフシステムを見直すのはすごく良いんじゃないかと思います。

 だって、考え一つで変わる可能性がある。不可能じゃないならやってみるしかないじゃない。

人は鏡とはよく言ったものです。