≪内容≫
むかしむかし、“円"が世界で一番強かった頃。いつかのゴールドラッシュのようなその街を移民たちは“円都(イェンタウン)"、と呼んだ。でも日本人はこの名前を忌み嫌い、逆に移民たちを“円盗(イェンタウン)"と呼んで蔑んだ。ここは円の都、イェンタウン。円で夢が叶う、夢の都。
…そしてこれは、円を掘りにイェンタウンにやって来た、イェンタウンたちの物語。
これ観るともっともっとこの歌に深く触れられるようになります。
二回目だけど、最初っから涙ぐむんだよな・・・。ブラクラ もそうなんだけど、こういう移民系というか架空都市系統の物語の底知れない魅力よ。
夢の都に名前はない
天国はあるんだぜ
でも誰も辿りつけないのさお前が死んでその魂は空へ飛んで行く
ところが雲に触れた途端
雨になって落ちるのさ
この切なさとかっこよさ・・・・言葉に出来ない(涙)
若き日の渡部篤郎(スナイパー)が死ぬほどかっこいいのは置いておいて、主人公・アゲハも置いといて、何より触れたいのはグリコ(chara)とフェイホン(三上博史)ですね。
グリコは兄二人と一緒にイェンタウンにやってきたが、一人は事故死、一人は生き別れとなってしまった。事故のときグリコ達は日本語が分からずその場を去ってしまい、死んだ兄がどうなってどこに行ったのか知らずにいる。
イェンタウンで生きるため、日本語と中国語を操りながら娼婦になったグリコの元に名無しの少女が置いて行かれる。その少女の名付け親となったのがグリコであった。
グリコは娼婦として働きながらたまに歌を歌っていた。それは仲間内では大人気で、恋人のフェイホンもグリコの素晴らしさをイェンタウンの移民たちだけでなく日本中に知らしめたいと思った。
金だけ奪って荷物や責任は他人に任せる世界でグリコはやさしすぎたのだ。彼女はアゲハを売ろうとするもそれが出来ず、彼女を性的な仕事以外で働けるようにフェイホンに頼む。
そしてフェイホンの夢を叶えるため、仲間たちから飛び出してレコード会社と手を組んだ。グリコは歌が好きだったのかも知れないが、人々に頼まれ、歌のせいで恋人と離れ離れになってからは歌が大嫌いになっていた。
グリコは歌手として大成功した。彼女のイェンタウンバンドは売り切れになるくらい売れた。
だけど、グリコはレコード会社に行くまではいつもフェイホンを見て歌っていたから何を見て歌えばいいのか分からなくなってしまったんでしょうね・・・。
フェイホンのステージ上のグリコを見る輝いた目と、グリコのフェイホンの様子を窺うような表情がね、ほんと二人だけの世界で素敵です。
二人が離れ離れになってから、一緒にいたときの事件が芽を出して突如として追われる身となる。もしも二人が傍にいたら違った道があったのかな・・・と思ってしまうのでした。
夢の都で死んだら身元不明で誰だか誰にも分らない。グリコが名前の代わりにしたのが胸元に掘った蝶の刺青だった。夢の都では国籍も変わり名前も変わり夢を得るには捨てるものが多すぎる。捨てることをためらわない街で捨てられずにいる、そんな円盗の物語。