
≪内容≫
東京の旅行代理店に勤める咲子は、故郷の徳島で暮らす母の龍子が入院したと聞き、久しぶりに帰郷する。しかし、龍子は末期ガンに冒され余命幾ばくもない命だった。
前の職場で週末何の映画借りる?みたいな話をよくしてたんですが、そのときお勧めされたのがこの「眉山」。私の家は大分あけっぴろげな母娘なのであんまり手が伸びなかったんですが、「祈りの幕が下りる時」で松嶋菜々子の魅力に気付いて観てみようと思いました。
これ徳島の有名な阿波踊りも話題だと思うんですが、イタリアのトマト祭りと同じくらい人生で一度はお目にかかりたいお祭りですね。
親子と言えどもお互いの人生がある
当たり前のことだけど、特に母との別離っていうのは難しいな~と思います。そんなにべたべたした関係じゃなくても、母がまるで自分のことのように子供の成長を喜んだり不祥事に怒ったりすると自分と他人という距離感を自分と母親には適用できなくなってしまうんですよねぇ。
同化、と言ったら言いすぎるけれど、スパっとあんたはあんた!あたしはあたし!と切れない不思議な絆がある。(これが臍の緒なのかしら?)
一人娘の咲子は東京でキャリアウーマンとしてバリバリ働いている。ある日、知りあいから母が入院したと電話で知らされ故郷・徳島に帰郷。そこでは病人になっても変わらず気位の高い母・龍子がいた。
咲子は主治医から母の余命が迫っていることを聞き、これまで黙っていた母への思いと、母が隠してきた自分の父親について改めて考え直すことにする。
父親がいない家庭で、咲子が学校から帰って来るのと入れ替わるように母は夜の仕事に行ってしまう。兄弟もいない咲子にとって、母が外でどれだけたくさんの人に慕われていようが寂しいことには変わりなかった。
ある日咲子は父親に会いたいと言うが、そこで母は父は死んでいるし、他に家庭があったのだと告げられる。だけど、心から愛していたのだと母は言った。
咲子への後ろめたさからか、母は母一人子一人の二人三脚で生きてきたにも関わらず全て自分一人で決めてしまう。咲子への連絡は母ではない人から伝えられるだけ。咲子は自分は母にとって必要がないのだと感じる。
しかし母が大切にとっておいた記録を辿ると、そこには今まで見えなかった母親と父親の愛が確かに残されていたのだった。
咲子は母を戒めるくせに自分も正義感が強くって男前なんです。だから親戚や友達たちは親子だな~と微笑ましく見守っていたんだろうな、と容易に想像出来てほんわかしました。
これ十代で理解出来たらすごいな、と思う。これはね、30~40代が一番心に沁みるんじゃないですかね。大人だと思っていた親の年に自分が近付くことでしか見えないものが絶対にこの世にはあるから。