≪内容≫
プライシング能力を身につける、インセンティブシステムを理解する、市場に評価される方法を学ぶ、失敗と成功の関係を理解する、市場性の高い環境に身をおく。マーケット感覚を鍛え、「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法。
超・人気ブロガーの社会派ちきりんさんの本です。
私はこの人のブログを読んでいるんですが、その中で好きだった・・・というか共感した記事が貧困に関しての記事。
ちきりんさんが友人に「貧困問題どう思う?」と聞いても「何言ってんの?」みたいな反応ですぐ終わっちゃうっていう話で、話を聞いてくれる人もお情けで聞いてくれる感じで、それは環境とか立場なのかなって思ってたけど、違くて人は貧困とかそういう社会問題には興味がないんだ・・・っていうことが書いてありました。
あと、「一番面白いのは社会を知ること」っていうのもそうだなぁって思いました。
これからは英語の時代ってホント?
今まで「英語を話す人」といえば、アメリカやイギリス人、それにカナダやオーストラリアの人など先進国の人だけでした。
そういう国からわざわざ日本に来て、総務や経理をスタッフレベルで担当しようなんて人は、ほとんどいません。
なのでどの外資系企業も、英語ができる日本人を雇っていたのです。
ところが今や、フィリピン人もインド人も英語を話すということがわかってきました。より正確にいえば、彼らは以前から英語を話していたのですが、これまでは先進国の職場に入ってこなかったので、「いないことになっていた」のです。
でも、彼らが「英語で経理」や「英語でITサポート」をやってくれるなら、必ずしも英語ができる日本人を高い給与で雇う必要はありません。
どっかで読んだな~。
これだ。
野口さんも同じこと書いてたな。
アメリカ人は、英語で仕事が出来て安い給与で働いてくれるインド人に仕事を奪われたと。
日本人が英語を使えるようになったら、もちろんいいことはあると思う。
映画が字幕なしで見られたり、輸入商品の説明書を理解出来たり、eBay使ったりも楽になりそう。
だけど仕事をするとなると、従来の英語圏の人+フィリピン人やインド人と奪い合うことになります。
英語が圧倒的に有利な時代に乗り遅れた人が日本以外で事業を興そうと思うなら・・・
狙うはインドネシア!と書かれています。
インドネシアに限らずイスラム教徒に対応したサービスですね。
イスラム教って聞くとISのイメージが強烈であまりいいイメージがないように思います。
だけどインドネシアなどイスラム教徒の多い国から日本は好かれているらしい。
この事実を全く知らなかったのでびっくりでした。
日本が宗教に寛容である(興味がない)ことを前提として話すと、イスラム教の掟は厳しいです。
ただ単に豚を食べちゃいけないとかではなく、牛や鶏でも特別な屠殺方法で処理されているものしか食べられないのです。
海外では、肉の加工処理のときに「これはイスラム教の国に売れない」とか選別するのが面倒だから全部ハラル処理(イスラム教の屠殺処理)にする国もあるそう。
日本ではイスラム教に対するサービスはまだ未開分野だそうです。
もう喰い尽されている英語分野ではなく、未開分野こそライバルが少なく、これからが期待出来る市場。
今年はハラールエキスポジャパンに行ってみたいと思います!
なんたってアジア料理が大好きなので、ハラル処理がどんなものか食べてみたい~!
そして、日本のおいしい牛とか鶏料理をイスラムの人にも食べて欲しい~!
日本は米国についているし難民問題もあるので、公にイスラム歓迎になるにはほど遠いかもしれませんが、日本の美味しいご飯を色んな国の人に食べてほしい。
そして、美味しい他国のご飯も食べたい。
何にせよ、日本語っていう壁は本当に大きいなぁって感じます。
「日本の消費市場」には国際競争力がある
海外のメーカーの中には「日本で売れれば、自信を持って世界で売れる」と考えている企業もあり、「日本で売れた」は、一昔前の「全米が泣いた!」といった映画のコピー同様、「あの厳しい水準の市場で通用した」というクレジット(信用力)として通用します。
日本の消費市場は、その目利き力によって、高く評価されているのです。
えっマジで??
日本の文房具とか100均とか人気なのは知ってたけど、一般市民だけでなく企業的にもそんな考えだったのか・・・。
恐れ入りますなぁ。
日本語という単一言語で生活し、その生活を支える水準はどこよりも高く、ご飯が美味しく治安も悪くないし、清潔で生活保護もあるとなれば、日本人って外国に出る必要ないよな。
日本が世界トップクラスの威力を持つパスポートを持ちながら、パスポート所持率が23%という事実も納得です。
私が日本以外に生まれていたら絶対行きたい国だろうな。
made in Japanがすごいのではなく、同じmade in Chinaでも日本で売っているものはイイものなんだそうです。
これがびっくりなんですけど、同じ商品でも国によって品質が違うらしいのです。
カンボジアで行ったオールドマーケットが「値段のない商品を買う」市場です。
そのシステムは、同じ商品でも日本人なら50ドル、アメリカ人なら10ドル、中国人なら5ドルというプライシング(値付け)をするというのです。
これは不公平ではなくて、売り子は相手を見て商品の価値を決めて取引し、買い手は拒否もできる状況なので、結果合理的な商売ということです。
耳が痛い話ですが、私がカンボジアに行ったときの友人との会話は「相場はいくらなんだろう?」です。
トゥクトゥクのチャーターの相場はどれくらいなんだろう?
食事の相場はいくらなんだろう?
お土産にするクロマーの相場はいくらだっけ?
プライシング能力0です。
とりあえず皆が払っている値段で、損しなければいいや、ちょっとお得に買えればなおよし!みたいな。
多分、ほとんどの日本人がこの感覚なのではないでしょうか。
そう思うのはガイドブックに必ず「相場~$」って書かれていたからです。
日本では自分で値段をつける場面がほとんどないです。
「う~ん、OO円なら買うわ!」と自分でプライシングするのは、ヤフオクかフリマくらい。
日常生活でも主婦なら「きゅうり3本198円・・・安い!」って人もいれば高いと感じる人もいるでしょうが、セールなどで安いから買う!っていう思考だと本当にそれが自分に必要なのか、それが50%OFFだとしても自分にとって安い(いる)か高い(いらない)かが分からなくなってしまいます。
日本で売っている商品の水準が高いのはバイヤーさんの目利きがいいからです。
もちろん消費者が求める「普通」が他国より上なのは、日常生活(日本の普通のお弁当や普通の接客業)から分かります。
だけど当たり前に慣れ過ぎて、そこに価値がないと思ってしまう。
「え?だってこんなの当たり前じゃん」っていうところにこそ、価値はあるのかもしれません。
made in Japanだけでなく、Used in Japan,Best seller in Japanにも価値があるのです。
日本の中古品の綺麗さ、日本で売れている化粧品や紙オムツなど日用品の素晴らしさ、カップラーメンの美味しさ、私たちにとって安価なもの、当たり前のサービスには多くの価値が眠っている!わ~お
日常的にプライシングしてみるのって楽しそう!
原価だけでなく、今の自分にとってこの商品にはどれくらいの価値があるかな?
とりあえず、最初に相場を考える癖をやめようと思います。
インセンティブシステムを理解する
マーケットとは、生身の人間同士が取引をする場所です。
人間の行動が何に動機付けられているのか、そのことに対する深い洞察なしに、マーケット感覚を身につけることはできません。
たしかに世の中には、お金だけで動く人もいます。
しかし大半の人は、そんなに単純ではありません。私たちのインセンティブシステムは、もっと複雑で繊細、かつ、現実的なものなのです。
(中略)
なんでもかんでも「アイツは金で動いている」と言う人は、ビジネスを始めるとすぐに「安くすれば売れる」と言い出します。でも世の中には、安くても売れないモノや、高くても大売れしているものがたくさんあるのです。
そうなんでよね。
この、「人の思考を読む」というのがマーケット感覚の面白いところだなぁと思う。
私たちの生活を便利にしてくれる家電たち。
これらが生まれたのは
「あ~皿洗いたくわぁ」→食器洗浄機
「掃除したくないわぁ」→ルンバ
「米炊くのに火加減とか時間見てるのやだわぁ」→炊飯器
「布団干すのめんどいわぁ」→レイコップ
というようにワガママとも思える「やりたくないわぁ」が便利さや価値を生みます。
日本では我慢や忍耐が美徳として認識されているので、ワガママや不満を排除していく傾向にありますが、わがままや不満からサービスが生まれます。
私が全ての店に導入して欲しいのは、セルフレジ。
ニューデイズや、GEOでも見る機会が増えて嬉しかったのですが、普通のスーパーでももっと普及してほしい。
だって、小額でもクレジットカード使いたいけど店員に「え?これでクレジット使うの?」とか思われたらどうしよう・・・とか、「この人の夜ごはんきっとアレだな・・・」と思われたらイヤだな・・・とか、値引き品買うときとか、レンタルDVDでスプラッター映画ばかりになったときとか、朝「suicaで」という一言さえめんどくさいときとか、誰にも気を使いたくないときがある。(気にしなきゃいいのに気にしちゃうヤツなんです)
そんな他人のこと考えてないかもしれないけど、セルフレジの方が気が楽なんですよね。スーパーでも、肉を縦にしないで!とか卵を下に置かないで!とか、思う人いると思うんですよ。自分なりの「あぁ!それ違うんですぅ!」っていうこだわりが。
だから、もっとセルフレジ増やしてほしい。
あともう一つ、何か問題があったときに罰則ではなくインセンティブシステムでどうにか出来ないかと考えること。
①社員の遅刻が多い
罰則→三回遅刻で減給。
インセンティブ→早く出社したら朝ごはんが出まーす!
②社員旅行の不参加が目立つ
罰則→参加は義務だ!
インセンティブ→年一を二年に一回にしてその分豪勢にします!
など。
これってまず、「遅刻する人」と「不参加を表明する人」がいなければ生まれません。
私は会社の飲み会とか死ぬほど行きたくないのですが、義務として行っています。社会人としての付き合い・・・と思って。
職場の全員が行きたくないけど、義務だし行くか・・・と参加していると何も改善しないんだな~って思いました。
私は、会社の方針に対して「経営者じゃないし、嫌なら辞めるしかないから不満は言わない」という考えでした。
でも、本書を読んで不平不満を言うことが必ずしも悪いことではないんだと気付きました。
生きてく中で、必ず不満って生まれますよね。
だからこそ文化は進展していった。
なのに不満を悪いこととして、自分の中で溜めこんでいくだけにしたら、何も良くならないし、結局「言える人」に責任転嫁して、改善されれば漁夫の利で、されなければ最悪うつになるだけ。
マーケット感覚って、仕事だけじゃないんだなって本書を読んで思いました。
色んな人の感情が刺激し合って生まれる市場。
それって誰でも参加しているし、少なからず影響与えたり受けたりしている世界。
それなのに今まで何も知らずにいて、知る必要のないことだと思ってた。
「でも・・・」や「言ってることは分かるけど・・・」という気持ちにならずに素直にやってみよう!と思えた本書。
もっと自分の欲望に素直になってみよう。