深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】ぼくは明日 昨日のきみとデートする~人生にたった一度でもこんな恋愛ができたら~

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≪内容≫

七月隆文の同名小説を映画化したファンタジックラブストーリー。20歳の美大生・南山高寿は、電車の中で出会った女性・福寿愛美にひと目惚れ。意気投合したふたりはつき合い始めるが、愛美にはある秘密があった。主演は福士蒼汰と小松菜奈。

 

恋愛が何をもたらしてくれるのか、何を期待してるのか、一人の人間と深くコミットする時間やお金や苦しみの果てに得られるものは何なのか。それこそよそはよそ、うちはうち、で期待するものも変わってくると思いますが、私は「成長」をもたらすものであり、お互いの「成長」になるような関係を期待している。

 

限られた時間の中で

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この映画、とかく映像が綺麗です。2人を囲む空間が淡く撮られている?ので、その儚さと美しさもあいまってとても切ない。

 

主人公・高寿は電車の中で愛美に一目ぼれ。自分の感情に戸惑いながらも高寿は愛美に話しかけ、二人の関係は始まった。

そのうち、初めて会ったはずなのに自分の言っていないことまで知っている愛美に疑問を抱く高寿は愛美のノートを見てしまう。

そこに書かれていたのは、未来の二人のデートの内容だった・・・。

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恋愛ファンタジーだと、最近見た中では今夜、ロマンス劇場でが近いかな、と思うのですが、あとは「時をかける少女」とか「電影少女」とかが自分の中ではちょっと似てます。

自分と同じ空間にいない人と恋愛することで、成長していく部分が挙げた作品の中の共通点です。しかもこれら作者が全員男性で、昨日の「植物図鑑」は女性作家さんなのですが、男性は一時のロマンスを濃い密度で描き、女性は生活を基盤にして描くという印象です。ちなみに、「ペンギンハイウェイ」も作者もりみーですが、こちらも切ないですね。

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そばにいても、自分と目があっても、どこか遠くに行ってしまいそうな、永遠に手が届かないようなそんな女性との限られた時間。

愛していてもずっと一緒にはいられないと知っていながら好きになった男性。

 

そういう二人の恋愛って、最終的な「形」は残らなかったとしても、その人の長い人生のどこかに跡を残す。

「形」がないから、他人にはその恋愛の美しさや背景は分からないけれど、本人たちには深く刻まれている。

 人生にたった一度でも、それが40日間だけでそれ以降誰も好きになれなくても、そんな時間が一回でもあったらそれだけで生まれてきてよかった、って思うだろうな。