深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】クロノス~永遠の時間を手に入れても老いて傷ついた体は戻らない~

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《内容》

存在してはならなかった。永遠の生命と引き換えに、今、恐怖の封印が解かれる――。
ギレルモ・デル・トロ監督、劇場長編初監督作品がHDニューマスターにて登場!

16世紀、迫害を逃れてメキシコに渡った錬金術師の手によって“クロノス"が生み出された。永遠の生命を得る事が出来る不思議な純金製の機械、彼はこのクロノスに依って400年もの間生き続けたが、1937年に事故に巻き込まれ他界。警察が彼の部屋を調査したところ、逆さに吊るされた男の死体と滴る血を集めるように床に置かれた容器が見つかった。そして部屋の多くの貴重なアンティークは競売にかけられ、その後クロノスは歴史の闇に埋もれていった。そして現代、メキシコで骨董店を営む老人・ヘスス(フェデリコ・ルッピ)は、売り物の天使像の中から金色の奇妙な彫刻品を見つける。それに触れてみたところ、突然針が飛び出してヘススの手に突き刺さった。慌てて引き剥がしたが、次の日彼は見違えるように若返っていた。この彫刻品こそがクロノスだったのだ。そして彼はクロノスを巡る様々な陰謀に巻き込まれていく・・・。

 

ギレルモ・デル・トロ の作品はグロテスクで美しいんですよね。これも昆虫なんですが、その気持ち悪さが美しく見えるようなデルトロマジック。自分の好きとぴったりあう監督がいるというのはすごく幸せだなぁと思いながら見てました。

 

クロノス (時間の神) の奴隷として生きるか、個人として生きて死ぬか

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  骨董店の主人・ヘススの元に天使像がやってきた。ヘススが天使像の状態を確認していると中から金色の骨董品が出てきた。その美しさに見惚れていると、その金色のモノからは6つの触手が飛び出し、ヘススの手のひらにぐさりと突き刺さったのだ。

 

 驚く孫をなだめながら手当をするヘススだったが、その夜、のどの渇きを覚えたヘススは何かに導かれるようにその金色のモノを取り出し、同じように自分の体に突き刺せたのだった。

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  一方、このクロノスを探し回っている人間がいた。自分の死期を悟り、永遠の命を手に入れたいと望む者だった。ヘススは知らないうちに永遠の命を手に入れてしまった。血の味が欲しくてしょうがなく、またクロノスに操られ始めていたため、クロノスを老人に手渡すのを拒否したのだった。

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  孫はおじいちゃんがおかしくなっていくのを日々見ていた。

 クロノス依存になってしまったヘススは、クロノスを手渡すことができずそのために殺されてしまう。しかし、クロノスの力によってゾンビとなってしまうのだった。

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  感情表現を出すことが苦手な孫だったが、人を受け入れる優しい心をもっているため、おじいちゃんが奇妙な姿になってもおじいちゃんを黙って受け入れた。

 たとえ肌が腐り落ちて奇妙な姿になってもおじいちゃんに死んでほしくないという気持ちが一言も話していないのに、表情もほとんど変わらないのに行動だけで伝わってくる。

 

 最後は、一言も話さなかった孫の「おじいちゃん」の一言でヘススの奇妙な人生は幕を閉じるのだった。

クロノス HDニューマスター版(字幕版)

クロノス HDニューマスター版(字幕版)

  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: Prime Video
 

  私はスティーブンキングの作品の子供たちがすごく好きなのだけど、思い返せばデルトロの作品もよく子供が出てくるのだった。そして二人の作品に共通するのは、子供がとてもピュアでやさしく勇敢なのである。大人であるが、その姿にいつも背中を押されるのだった。