≪内容≫
この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは?そして彼が世界に遺したものとは?―。
マイケルジャクソンの話です。
ただ、マイケルの日本版。
もし、キング・オブ・ポップが日本にいたら・・・というお話。
私はスリラーくらいしか知らなかったから、彼の音楽を聞いてみました。
すっごいありきたりだけど、「ヒール・ザ・ワールド」を聞いて涙が止まらなかったです。
だって富も名声も得てそれだけで生きていけるのに、「世界をよくしていこう」って僕と君のためにって歌うのって勇気がいるって言ったら違うけど、普通は歌わない気がしたから。
多大な成功は人生への祝福ではなく、膿み続ける苦しい傷痕だったのか。
おかしなことに、彼は自分がスーパースターになって、恵まれるほどに、世界のあちこちにある悲しみに耐えられなくなったようだった。あそこにも悲しみが!あぁ、こっちにもあるじゃないか、と。
飢餓や環境破壊や医療問題、それに冷戦、さまざまなことに目を向けては身も世もなく悲しんだ。
自分でいっぱいいっぱいの時は、視野が狭くなっちゃって自分だけが辛いように感じたりしてしまいます。
だけど成功すれば視野が広くなるわけでも、心が広くなるわけでもないと思っていて。
でも出来ることは増えると思うのです。
自分の力で誰かを助けることが出来る。
それにはやはり「お金」が必要なのです。
震災のときに、YOSHIKIや高須院長や紗栄子さんなどが多額の寄付をしてくれました。公表しないだけで他の芸能人やお金持ちの人が寄付してくれたと思います。
どうやったって助けられない状況にいるならあきらめる他ないけど、もしかしたら助けられるかもしれないって思ったら、見て見ぬふりは出来なかったんだと思う。
年齢を重ねるごとに「世界は変えられない」と絶望していく人がほとんどの中で、彼は子どもの様に変わらない希望を持ち続けた。
その行為が、はたから見たら奇行に映り、偽りにも映った。
彼は成功しても、前線から離れることなく戦い続けた。
世界平和という世界最大の難問に立ち向かい続けた。
スーパースターはみんなの心の鏡
人というのは、自分を基準にして物事を判断するものよ。あの子のことだってそうだわ。善良な人は、あの子の優しさや善意をまっすぐ信じる。そして不幸には同情してくれる。一方、心の奥に悲しみや怒りを多く溜めている人は、あの子の姿に自分の翳を投影して、あれこそが悪だと糾弾しようとする。
スーパースターってすごいなぁ。
この物語はキング・オブ・ポップのことを色んな人が色んな環境から色んな視点から話してます。
彼と同年代の男の話。
彼のおかげで結婚した夫婦。
彼によって壊された家族。
彼に励まされた姉・・・などなど。
私たちはスーパースターに何を求めているのか。
世界的にスーパースターでなくても自分にとってのスーパースター。

- アーティスト: 東京事変
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私はこの東京事変のスーパースターがめっちゃ好きです。
私はあなたの孤独に立つ意思を思い出す度に
泪を堪えて震えているよ
拙い今日の私でも
という歌詞が特に好きです。
私たちはスーパースターに人間的なものを求めていると思うのです。
音楽や容姿だけじゃなくて、人間性。
彼らを通して自分に足りないものを感じたり、嫉妬を感じて自分が本当にしたかったことを思い出したりする。
魔法(アメージング!)
キング・オブ・ポップというおおきな光を喪った悲しみとともに、あたしたちは次第に、個人的に大事だったもの・・・・家族や、友達や、恋人との別れや喪失の、生きながら身を引きちぎられるような苦しみをも思いだし始めた。そしてそれらの感情が、ここで歌ったり踊ったりするうちに、スパースターの魔法(アメージング)でもって、ぴっかぴっかにお掃除されていった。
スーパースターは魔法使いなんだと思います。
彼の音楽を聴いたり、彼が楽しそうにステージを駆け回るのを見るだけで生きる力が湧いてくる。
彼が紡いだ言葉で元気が出たり慰められたり、話したこともあった事もないのに知らず知らずに魔法をかけてる。
自分を呼ぶ人の元へそっとあらわれて、さりげなーく魔法をかける。魔法はかけられたことも分からないくらいゆっくりと作用してくる。
それは彼がこの世からいなくなったって溶けることのない魔法。
そして、誰も縛らない魔法。かけひきも何も要らない。
私たちは自由に彼を忘れることもできるし、新しいスーパースターに魔法をかけてもらうこともできる。
うわー涙出てきた。
彼は・・・彼らは自分の命を削りながら魔法をかけているんだと思う。
一心不乱に誰とも分からない誰かへ、命をかけて届けているんだと。
こんなこと、誰にも出来ない。
それは才能と呼ぶにはあまりに粗末な気がする。
「誰かのために」ってキレイゴトを通り越して、純度100%の希望として持つ人間だけが真実の「誰かのため」になれるのだと思う。
彼が失った普通の生活を歩む傷痕は、どんな希望の地図を作るだろうか。
私たちはどんな希望の地図を作っているだろうか。
なぜ偽りのない愛があるか分かるかい?
愛っていうのは強くて喜びだけを与えてくれるものなんだ
死力を尽くせばこの喜びに恐れやおののきなんて感じられないと分かるはずさ「いる」事をやめ「生きる」事始めよう
(ヒール・ザ・ワールド)

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そんなの無理だよって思うより、もしかしたら出来るかもしれないって信じてみようかなぁ。
だってその為に戦い続けたスーパースターがいたんだから。