≪内容≫
安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、平和で豊かな国「ナパージュ」にたどり着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守り穏やかに暮らしていた。ある事件が起こるまでは―。平和とは何か。愚かなのは誰か。大衆社会の本質を衝いた、寓話的「警世の書」。
こわいね。
※リアルカエルの画像が出てきます。ご注意ください。
楽園はあるのか?
主人公はこの小さなアマガエル。
アマガエルは他の大きなウシガエルやダルマガエルやヒキガエルに食べられていました。
そして楽園を探して旅に出るのです。
旅の途中、小さなアマガエルたちは何度も襲われ、数もだんだん減ってしまい、最後には二匹だけになってしまいました。
楽園をあきらめかけたそのとき、ナパージュという平和な国に辿り着いた二匹。
そこは小さなアマガエルも食べられる恐怖に脅えることのない、争いのない国でした。
二匹は今まで同じカエルたちに何度も襲われてきたので、にわかには信じられず、この国のカエルたちに「どうして平和なのか?」と聞いてみました。
すると、カエルたちは当たり前のようにこういうのです。
ぼくらが争わなければ、争いにならないからです。
この国には三戒という掟がありました。
一、カエルを信じろ
二、カエルと争うな
三、争うための力を持つな
この三戒がある限り、ナパージュには争いは起こらない。
この国のカエルたちはそう信じて疑いませんでした。
ナパージュ=日本
というのはいやでも分かります。
そして、日本人は二度と戦争をしないという憲法9条がある限り、私たちの身の上には戦争は起こらないと思っていると思います。
逆に言えば憲法9条がなくなれば戦争になるかもしれないということですよね。
私は戦争のない国がいいです。
それが理想の国であり、楽園と呼べるものなのかもしれません。
ただ本書を読んで思ったのは「楽園なんてほんとうはどこにもないんじゃないか?」ということです。
そもそも「楽園を探す」ということ自体が間違っている。
誰かの楽園は誰かの犠牲に成り立っている、それを知っていたのに、見ないフリをして、日本だけ平和で争いのない国でいたい!と思っていました。
どんな日本が望ましいか?
「ナパージュには三戒があるのを君は知らないのか」
「知っていますよ。けれども、ウシガエルの国には、三戒はありません」
「それがどうしたのだ。君はいったい何がいいたいのかね」
プロメテウスははっきりとした声で言いました。
「ウシガエルたちには、三戒を守る義務がないということです」
ウシガエルが着々とナパージュを侵略しているにも関わらず三戒があれば大丈夫だ!と信じて疑わないナパージュのカエルたち。
しかし三戒はナパージュの国のものであって、ウシガエルの国にはありません。
当然の如く、ウシガエルに守る義務はありません。
それを知っても、ナパージュのカエルたちは「ウシガエルはいいヤツだ。話せばわかる。最初にこちらが悪意を持った目で見るから良くないのだ」と断固戦うことを拒否します。
永世中立国であるスイスはとんでもない軍事力を持っているし、スイスに手を出せばそれがどんな国だろうが攻撃します。
それだけの覚悟で中立国という立場を取っているとも言えます。
日本だって平和を大事にしていると思います。
広島の原爆ドームの慰霊碑には「過ちは繰り返しません」というような言葉が刻まれている。
戦争はしたくない。自分たちも戦いたくない、殺したくない。でも軍事力は持たない。そこはアメリカ(本書ではスチームボートという鷲)よろしくで保たれている。
それって本当に平和なのか?
自分の国の責任をアメリカに担ってもらっているような気がする。もちろん、アメリカからしたら日本に軍事力の決定権を明け渡すことのほうが危険と思っているからかもしれないけれど。。。
でも、もし軍事力を持ちます!と公になれば(実際すでに自衛隊がいるので軍事力はあるのですが)国民的には「どうして?」「また戦争になるかも?」と不安に思うのは仕方ないことのように思う。
う~ん。軍事力を持っても何にも今の平和が変わらないんだと言って欲しい。他の国が軍事力を持っているからどうって話ではなくて、日本はどういう国を目指すのが望ましいのだろう?と考える。
教団Xでは永遠平和を掲げていこうよ!という終わりになっていましたが、どんな日本なら納得できるのか、まだまだ何も見えません。
三戒は何を守ってくれる?
「この国に来て、いつのまにか三戒は素晴らしいものと思い込んでいた。でも、三戒はナパージュのカエルたちを守ってくれなかった。平和だったナパージュが、どうしてこうなってしまったんだろう」
結局ナパージュはウシガエルに奪われてしまいました。
三戒を破棄しようとしたカエルたちは死刑になり、他のカエルはウシガエルのいつでも食べられる奴隷になりました。
ある日、アマガエルたちは嫌な光景を目にしました。
ウシガエルたちがナパージュのカエルの手や足をちぎって食べ、まだ生きているのに投げたり地面にたたきつけたりしていたのです。
その光景は、ウシガエルがナパージュを占領して以来、いたるところで見られた光景でしたが、その弄ばれているカエルはアマガエルたちに優しくしてくれた「ローラ」というメスのカエルでした。
ローラは弱々しく笑いました。
「大丈夫よ。ひどいことにはならないわ。だって、ナパージュには三戒があるんですもの」
それがローラの最後の言葉になりました。
世の中ってどうなっているんだろう?というのが率直な疑問です。
ウシガエル=中国だと思うのですが、なんで日本を狙うんだろう?
中国の方が面積広いし、人口も多いしさ・・・なぜ日本?陸続きじゃないし。ここら辺が分からないからこそ、危機感がないんだろうな、と思います。
なのでこの本も読んでみたいと思います。
北朝鮮のミサイルには一応迎撃ミサイルがあるし、北朝鮮の精度を上回る研究をしてくれればそれで大丈夫にはならないのかなぁ?
こういう考えが日本を滅ぼすのかな?
憲法改正に関しては、賛成反対どちらに転ぶかは「今の平和が崩れるか否か」なんですよね。曖昧な確信で未来への不安を煽られても、どうしていいのか分からない・・・
本書を読んで分かった気になることが一番危険だなって思いました。
勉強して、理屈が分かってからじゃなきゃ、何も選べないですよね・・・
永久平和国が理想です。
理想はあくまで理想にしか過ぎなくっても・・・。
でも力を持たなきゃ殺されちゃうだけなら・・・もし本当に北朝鮮がミサイルを撃ったら、一気に憎しみが生まれて、日本も変わるんだろうと思う。
楽園があるとしたら一瞬の輝きのようなものなのかも。