《内容》
ふたつの仕事をかけ持つ阿川佳代、28歳。コンビニ勤務は至って平穏だが、もうひとつの務めは波乱に満ちていた。犯罪者の更生を助ける保護司という仕事で、国家公務員だがボランティアのため報酬は一切ない。それでも阿川は、次々と新たな問題を起こす前科者たちを、「あなたは崖っぷちにいます!」と厳しく叱り、「落ちたら助けられなくなります」と優しく励ます。「もっと自分の人生を楽しめば」と周りには言われるが、何があっても寄り添い続ける覚悟に一点の曇りもなかった。そんな中、阿川は殺人を犯した工藤誠を担当することになり、懸命に生きる彼を全力で支える。ところが、工藤は保護観察終了前の最後の面談に現れず、社員登用が決まっていた自動車修理工場からも忽然と姿を消す。折しも連続殺傷事件が発生、捜査線上に工藤が容疑者として浮かぶことで、これまで阿川が隠してきた過去や“保護司になった理由”が明かされていく。
この映画で、初めて「保護司」という存在を知りました。
国家資格でありながら無給なんですね。
最近はやりがい詐取という言葉が生まれたように行動にはお金が発生するのが当たり前で、それを貰えない人は「搾取されていて」「かわいそう」みたいな風潮に見えます。
そして、私もそう思っていたんですがこの映画を見て“報酬の意味”とか“お金と時間と人生”、”生きる意味”について考えました。
お前はなぜ生きている
保護司は仮釈放で出所した受刑者の保護観察にあたる
保護司は
犯罪者の更生を助けることで犯罪を予防する。
非常勤の国家公務員だが、報酬はない。
主人公は有村架純演じる阿川佳代。コンビニで働く姿とは別に“保護司”という顔を持つ。
佳代が担当しているのは三人。
窃盗罪の村上、詐欺罪の田村そして殺人罪の工藤(森田剛)。
村上は何かと文句をつけて転職を繰り返したり、田村は無銭飲食し、阿川を娘だと嘘ついて逃げたりと何かと問題がある。
だが工藤は真面目で職場の評価もよく、保護観察が終了した暁には正社員にするとも言われており工藤の更生したいという気持ちと阿川の更生を手伝いたいという気持ちが合わさって一番いい結果を実らせようとしていた。
一方、世間では連続殺人事件が勃発。その頃、工藤は弟と再会を果たす。目の前で母親を父親に殺された工藤兄弟は施設に預けられ、先に施設を出た工藤と弟は長く会っていなかった。
夜の河川敷で兄弟は再会できたことへの感謝をお互い伝え合うが、弟は話の途中でおもむろに腰を上げ通りすがりの自転車をこいだ男性を射殺する。
目の前で起きた光景に驚く工藤だったが、弟から聞かされた工藤が施設から出た後の人生は壮絶なものだった。
罪を犯す人の多くは子供のころからたくさんの問題を抱えてきました。
悲しんで
苦しんで
いろんなことをあきらめて
大人になる
神様ならそういう人から救うはずです
神様がいるんだとしたらそれは
残酷で意地悪な神様です
被害者の爪から工藤のDNAが検出されたことと、連続殺人事件の被害者が工藤の母親が殺された原因を作ったことと、工藤兄弟の施設に関連していたことから、工藤を容疑者とする捜査が始まった。
工藤の調査のため阿川に担当刑事が訪れるが、それは阿川の旧友であり保護司となったきっかけを作った同級生だった。
ほら
あの警備員
お母さんを殺したのに
生きてる
お父さん
お母さん死んじゃったのに
笑ってるよ
母親が目の前で殺されたシーンがフラッシュバックして突発的に相手を刺殺してしまった工藤。だが弟もまだ母親が殺された日から抜け出せてはないなかった。
工藤は阿川との交流の中で新たな道を進もうとしていたが、まだ暗闇の中にいる弟を置き去りにすることはできなかった。
刑事になった同級生の父親は阿川の代わりにホームレスに刺され殺されてしまった。刑事は図書室の阿川の好きな本に"お前はなぜ生きている"と殴り書き戻した。阿川へのメッセージだったのか、誰にでもない怒りの感情だったのか、犯人へのメッセージだったのかは分からない。ただ、それを見た阿川は生きる意味を探しつづけていたのである。
工藤兄弟の事件は「護られなかった者たちへ」と同じ気持ちになりました。
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工藤の母親は"助けて"と声をあげたのに殺されてしまった。その光景を目の当たりにしてきた工藤に阿川は"ちゃんと私に伝わるように叫んでください"と言う。その言葉は重く責任感が無ければ生まれない言葉でしょう。阿川の今までの行動で信じざるを得ない工藤は涙する。
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人との出会いによって「何を言っても無駄なんだ」ってあきらめたり、「言ってみよう」って思ったりする。人を殺すのも人だけど、人を生かすのも人である。難しいね。でも言えるのはだからこそ合わない人間、自分を攻撃する人間がいたら「逃げろ」ということ。我慢も努力もしなくていい。逃げるのが最善策だと私は思う。
原作は漫画らしいので読んでみたいなぁと思いました。てっきりテーマ的に小説家と思ってたのでびっくりです。
月並みですがすごくいい映画だったと思います。