深夜図書

書評と映画評が主な雑記ブログ。不定期に23:30更新しています。独断と偏見、ネタバレ必至ですので、お気をつけ下さいまし。なお、ブログ内の人物名は敬称略となっております。

【映画】罪と罰♦白夜のラスコーリニコフ/マッチ工場の少女~シンプルな映画って素敵だ~

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≪内容≫

アキ・カウリスマキの処女作『罪と罰 白夜のラスコーリニコフ』と、ささやかな幸せを求めても得られない人々をアイロニカルに描いた『マッチ工場の少女』の2作品を収録。

 

ドストエフスキーの「罪と罰」のラスコーリニコフらしい。

どちらも良かったけど「マッチ工場の少女」は、この先の人生で色々救われそう。

 

金で踏み躙られる心

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 主人公・ラヒカイネンは何年か前に恋人をこの男にひき逃げされている。そして、この男は捕まったが無罪で釈放。金に物を言わせたのでしょう。男は自分の命を奪いにきた男がラヒカイネンが誰だかも分からない。

 

 ラヒカイネンは男を殺す。男が悪いのだから、と最初は強く思っているのだが、だんだんと心は動揺していく。「青の炎」と同じ倒叙ミステリ的です。

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 実は彼は殺人現場をこの女性・エヴァに目撃されていました。しかしエヴァは何故かラヒカイネンを警察には渡さない。彼をかばう訳でもなく、警察に味方するでもなく、彼が自首するよう説得する。

 

 実は彼女もまた力で物を言わす男に迷惑していたのだった。

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 この作品はほとんどBGMがないんです。

だから感動的にも悲劇的にも誘導されないところが魅力だと私は思います。

 私はこの最後の「どうせ死ぬんだ」っていう境地が好きです。「天国には何もない」も。

 ドストエフスキーは難しくて絶対理解出来ないだろうなって自分で自分に待ったをかけていたんですが、この作品から読んでみようと思います。 

 

マッチ工場の少女

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 マッチが出来上がるまでの工程から入ります。

 この工場のシーンが個人的に大好きで、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もそうなんですが、工場って好きなんですよね。ちなみに「白夜のラスコーリニコフ」も冒頭は肉の解体工場で働く人々のシーンから始まっています。

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 主人公は右から二番目のカラフルなシャツを着ている女性・イリス

 こちらは男性からダンスの誘いを待つシーンです。左側の美しい二人の女性が誘われ、右の年上と思しき女性も誘われる中、彼女だけ見向きもされない。

 

 西洋の人って皆美しく見えるから、ちょっと基準が分からない。

 彼女は工場で働きながら家族を養っているのですが、何とかこの生活から抜け出したいと思っている。

 彼女はもらったお給料でドレスを買う事にしました。

「私だってドレスがあれば・・・」という感じですかね。この映画ほとんどセリフがないのです。

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 しかし父親らしき男に殴られ、罵られ、母親からは「返品してきな」と冷たくあしらわれてしまう。

 この両親、たぶん働いてないです。

 

 しかし諦めない。

 その服を着てもう一度夜会にチャレンジ!すると、一人の男性からダンスの誘いを受けることに・・・。

 イリスは彼と結ばれ、恋人になったのだと思ってしまった。

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 しかしそこで突きつけられる現実。しかも彼女は妊娠までしてしまっていた。そのことを男に話すも返ってきた言葉は「始末してくれ」の一言。

しかも追い討ちをかけるように、父親から勘当を言い渡される。失意のイリスに誰も寄り添ってくれる人間はいない。

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 そんな中、彼女が選んだ道とは・・・。

 

 いいね~!こういうハングリー精神、泣き寝入りしないやったらやり返す倍返しだ!精神大好き。

 

 この映画の好きなところは、BGMの無さと台詞の少なさ。

 ドラマチックな演出や華美な装飾は取り払われている。

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 シンプルすぎるやろ・・・ていうかどうやって食べるの?的なご飯。接着は・・・?

 劇中の美味しそうなご飯ってあんまり記憶にないけど、まずそうなご飯ってすごい残る。「時計じかけのオレンジ」のラストに出てくるパスタとか最強にまずそうだった。

  ハッピーな映画のご飯がめちゃくちゃ食欲をそそるように、バッドエンド的なものはご飯がすんごくまずそうなの。ご飯の描写ってすごく影響あるんだな、と改めて思う。

  飾っていないのに工場とかコインロッカーとかめっちゃオシャレに見えるのは北欧マジックなのか、なんでだろう。

 どちらも100分いかないので、サラっと観れておすすめです。