書評-恋愛・人生
≪内容≫ 8年間、だれとも口をきかず、日中ずっと児童養護施設の机の下でおびえている15歳の恐怖症の少年ケヴィン。ひとたび恐怖心が爆発すると、猛獣のように暴れまわり、周囲や自分を傷つける。180センチほどもあるこの少年を、セラピストのトリイは心底、恐…
≪内容≫ 最悪なことリストの第一位って何だか知ってる?「気にかけてくれる人が誰もいない」ことだ。里親から里親へと転々としてきたデイヴィッドにはよくわかる。新しい里親に引き取られ、新しい学校に来てみれば、11歳だというのに下の学年に入れられて、級…
≪内容≫ 心を閉ざした少女がただ一人頼りにしていたのは、知的障害をもつ姉だった。情緒障害児との心の交流を描き、世界中に感動を呼んだ著者が、福祉の連携の難しさ、教育の理念の実践の対立など、新たな問題に立ち向かう渾身のノンフィクション。 トリイが…
≪内容≫ 抱きしめてほしい、クズのような私を-愛を受けずに育ったため、人づきあいができず、重度の情緒障害を抱える娘の愛し方も知らぬ母親。娘の通う教室の助手になり、トリイと共に親と子の問題に立ち向かい、模索する姿を綴る。 今回ももちろん子供たちと…
≪内容≫ シチリアの小さな村にある森のはずれで、13歳の少年ジュゼッペが突然、姿を消した。思いを寄せていた同級生のルナは、謎だらけの失踪を受け入れられず、なぜか周囲の大人たちが口をつぐむなか、懸命に彼の行方と失踪事件の真相を追う。そして、不思議…
≪内容≫ 教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ…
≪内容≫ 体をほとんど二つに折り曲げ上目づかいにこちらを見る姿が異様な、まるで幽霊のような8歳の少女ジェイディ。教師トリイとの交流で少しずつ心を開いた彼女が語り出したのは、陰惨な性的虐待をするカルト集団の存在だった。 事実は小説より奇なり。を地…
≪内容≫ トリイの補習教室は、あらゆるクラスからはみ出した四人の子どもたちで大混乱。自閉症のブー、識字障害のロリ、粗暴なトマソ、うつ状態のクローディア。苛酷な運命から彼らを救おうと全精力を傾けるトリイに彼らはいう。「わたしたちみんな、どうせよ…
≪内容≫ 『シーラという子』の続篇。「あんたは自分があたしの人生をよくしたと思ってるんでしょ?あんたのおかげでよけい悪くなったんだよ。うんとうんと、何百万倍も悪くなったんだよ!」情緒障害児教室の教師をやめてセラピストとなった著者トリイが目の前に…
≪内容≫ そばにいても離れていても、私の心はいつも君を呼んでいる―。都会からUターンした30歳、結婚相談所に駆け込む親友同士、売れ残りの男子としぶしぶ寝る23歳、処女喪失に奔走する女子高生…ありふれた地方都市で、どこまでも続く日常を生きる8人の女の子…
≪内容≫ 家の前に供えられる花、庭に投げ込まれるお金。知らぬ間に神様に祀り上げられてしまった未亡人を絶妙な筆致で描く、川端賞受賞の表題作ほか6篇を収録。 これはけっこう怖いです。 川端康成はまだ、恋愛とか品のある男女が出てきてたのでそこまでおど…
≪内容≫ 妖しい森で道に迷った騎士フルトブラントは、湖の岸辺に立つ一軒の漁師小屋にたどり着く。そこで出会ったのは、可憐にして妖艶、無邪気で気まぐれな美少女ウンディーネだった。恋に落ちた二人は結婚式をあげるが…。水の精と人間の哀しい恋を描いたド…
≪内容≫ ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する………
≪内容≫ 中学校の国語の時間。「走れメロス」の音読テープに耳をふさいだ森見少年は、その後、くっついたり離れたりを繰り返しながらも、太宰の世界に惹かれていった―。読者を楽しませることをなによりも大切に考えた太宰治の作品群から、「ヘンテコであるこ…
≪内容≫ 夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世…
≪内容≫ 女性の裸を描き続けているヌード専門画家のミク。初めて開いた個展で、孤独を纒った美しい青年に出会う。この人が欲しい―彼をひと目見た瞬間、ミクの体内に始まりのサイレンが鳴り響く。ひとりの時間を愛し、絵を描くことで自分の存在する意味を探る…
≪内容≫ 村上春樹が選んで訳した世界のラブ・ストーリー+書き下ろし短編小説。 本作には9作品と、村上春樹氏による「恋するザムザ」の計10編が収録されている。 私はその中から一番恋愛要素が薄く、一番心に残った一作品を紹介しようと思います。 テレサ アン…
≪内容≫ 既成の通念を乗り越えようとする果敢な試み―言葉の生命力を生かして、新しい文学表現の可能性を追求した十二篇。 ずっと気になってた「馬」。 村上さんの本ですでに読む準備が自分で出来ていたのか、すらーっと自分なりに噛み砕くことができました。…
≪内容≫ 『浮上したら漁火がきれいだったので送ります』。それが2ヶ月ぶりのメールだった。彼女が出会った彼は潜水艦(クジラ)乗り。ふたりの恋の前には、いつも大きな海が横たわる――有川浩がおくる制服ラブコメ短編集! 図書館戦争や3匹のおっさんでお馴染み(…
≪内容≫ 19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた——「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ100%の恋愛小説。第四一回文藝賞受賞作。 セックスって文学の中ではたくさんの意味があるんだろうな、…
≪内容≫ 外科医ティモーテオの愛娘が交通事故に遭い、彼が勤める病院に運び込まれる。意識不明の娘の枕許で彼が語りだしたのは、惨めで、みすぼらしい、彼が唯一愛した女の話だった-。イタリア文学界の最高峰、ストレーガ賞受賞作。 これもばらばら~のために…
≪内容≫ 女を愛することの出来ない同性愛者の美青年を操ることによって、かつて自分を拒んだ女たちに復讐を試みる老作家の悲惨な最期。 岡本太郎→バタイユ→三島由紀夫という典型的な流れになっています。 岡本太郎やバタイユを知る前に三島由紀夫の「春の雪―…
≪内容≫ 「幸福は一夜おくれて来る。幸福は、―」。女性読者から送られてきた日記をもとに、ある女の子の、多感で透明な心情を綴った表題作。名声を得ることで破局を迎えた画家夫婦の内面を、妻の告白を通して語る「きりぎりす」、情死した夫を引き取りに行く…
≪内容≫ いつから私はひとりでいる時、こんなに眠るようになったのだろう―。植物状態の妻を持つ恋人との恋愛を続ける中で、最愛の親友しおりが死んだ。眠りはどんどん深く長くなり、うめられない淋しさが身にせまる。ぬけられない息苦しさを「夜」に投影し、…
≪内容≫ 天才芸術家、岡本太郎とそのパートナー岡本敏子。二人が遺した、激しく熱く純粋な、男が男のまま、女が女のまま、愛するためのメッセージ。 愛ってなんだと思う?と親友に聞いたらこの本を薦められました。 敏子さんは、秘書ののち太郎氏の養子となり…
≪内容≫ 子供のやさしさと正義を持ちながら。自分のことすら見えずただひたすらテイルランプの光を追う主人公和希。欠落した恐怖心と生意気な顔を持つ少年ハルヤマ…。追いかける瞳を笑うように、細いうしろ姿は一瞬の狂気を抱いて走っていた――。 漫画原作の映…
≪内容≫ 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった―。究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない…
≪内容≫ 「ぼくのすんでいるところは―/山と海しかない しずかな町で―/はしに行くとどんどん貧乏になる。/そのいちばん はしっこが/ぼくの家だ―」。腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。…
≪内容≫ ユーリに手紙を残して死んだトーマという美しい下級生。ユーリを慕っていたという彼は、なぜ死を選んだのか。良家の子息が通う、この学校の校長のもとに預けられたオスカーは、同室のユーリにずいぶんと助けられて学生生活を送ってきた。最近不安定な…
≪内容≫ 冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク…